カテゴリー: 読書

  • 「難しい数式はまったくわかりませんが、相対性理論を教えてください!」

    帰省中の読書その三である。NHKの「3か月でマスターするアインシュタイン」を見たこともあり、購入して読んでみた。厳密には、帰省前に半分以上読んで、実家で少し読んで、復路の飛行機の中で読了したけど。

    特殊相対論の肝を数学的には三平方の定理だけで説明しており、非常に分かりやすい。同様の説明をしている人は結構いるようだが、それ以外の作りも分かりやすくなるよう工夫されているように思う。全てを説明しようとせずに、割り切ったような書きっぷりに好感が持てる。

    さらに理解を深めるために読む相対性理論の本は決めているが、それ以上の話は読んでからにする。

    画像は復路の飛行機に乗る前に撮った新千歳空港からの眺め。肉眼で見ると開放感に溢れた青空なんだけど、撮った物だとちょっと違うかも。

  • 「林陵平のサッカー観戦術」

    帰省中の読書その二である。Amazonのレビューなどを見て、サッカーの見方に気づきがあればと思って購入したものの、これも積読状態だった。

    実際に読んでみての感想は、自分が期待していたものとは違ったが、サッカーのことは何となくは分かるけど、もう少し詳しく知りたい人に丁度良いと思う。後は「アオアシ」を読んで、ウェブ検索で知識を補充すれば十分じゃないかな。

    そこから先は実際に観ることだろう。サッカーに限らないけど、次にどこにボールが行くのか(どんなプレーが出てくるのか)を予想しながら見るだけでも違ってくると思う。

  • 「平安貴族とは何か」

    帰省中の読書その一である。

    「光る君へ」の影響で興味を持って購入したものの、積読状態になっていたのだが、まとまった時間が取れたので、この本を読むことにした。

    「光る君へ」で変わった平安貴族の印象がさらに変わったし、面白いとは思ったが、ちょっと中途半端な印象もあった。後書を読んだらラジオ講座を文字起こししたものだそうなので、それが原因かもしれない。

    その一方で、あまりキッチリと書かれると読みにくくなるような気もするので、これくらいで良いのかもしれない。

  • 「#100日チャレンジ」(大塚あみ、日経BP)

    爆買いした本の中の一冊。著者の成長していく様子は勿論、その着眼点の鋭さや、一癖ありそうなキャラクターも面白かった。

    また、著者に対する幾つかのインタビュー記事も読んだが、これも面白い。「戦う相手は、生成AIではなく、生成AIを高度に使いこなす同業者」という発言を見て、改めて「ヨボヨボ会社員」になっちゃいかんなと思った次第である。

  • 「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史建、ダイヤモンド社)

    帰省中の夜は飲酒を控え目にして読書に充てて、この本を何日かかけて読了した。気合を入れて読まなければいけない本だと思っていたけど、実際に読みはじめてみると対話形式で思ったよりも読みやすい。

    ネガティブな結果を得るのが怖いから、形の上では良い結果が得られる可能性を残しておくために「忙しくてやる時間がない」のような言い訳をする話など、自分を省みてドキッとしたり恥ずかしくなったりすることが何度かあった。

    本のタイトルでもある「嫌われる勇気」のところだが、自由とは他者からの評価を気にしないことであり、自由になるには他者から嫌われることを恐れない勇気が必要であること、というのは理解した気になったが、後から出てくる「貢献感」と他者からの評価を切り分けられることについては、まだスッキリとはしていない。主観だけの問題なら自己満足と違いがないように思うし、鈍感力で突破する方が楽に思えるけど、そういう問題ではないのだろう。

    上述のように、対話形式で読みやすいので、その時は分かった気にはなるんだけど、後から考えると頭の中が整理し切れていないところが多々あって、どこまで理解できたかは疑問である。しかしながら、この本を通読することができたので良かった。読み返す際には初読に比べてグッとハードルが下がるだろう。

    結局のところ「本を読む余裕がない」「勉強する余裕がない」というのは、やらないことを正当化するための言い訳でしかないんだな、と(苦笑)

  • ハードルの下げ方

    ここ最近、生成AIのこともあって、今まで以上に著作権の勉強に手を出している。当初の目的だった生成AI周辺はあまり手付かずなのだが、著作権の一般的なところについては頭の整理ができてきたと思っている。あれこれ眺めてみたけれど、分量のバランス的にはどうかと思うところもあるが、「60分でわかる!最新著作権超入門」は初学者が最初に読む本として良いと思う。

    若い頃は、教科書の最初から順番に、それなりに深く掘り下げながら前に進んで行くような勉強の仕方もできたように思うのだが、今は広く浅く全体像を把握してから各論を掘り下げるような勉強方法しかできなくなったように思う。また、最近は、自分が大学生の頃なら邪道だと言われていたような、噛み砕いて説明したような本も多いように感じている。昔は「物理数学の直観的方法」くらいしか覚えがなかったが、様々な分野でそのような本がありそうだ。

    とはいえ、「マンガで学ぶ○○」みたいな本にはまだ抵抗がある。結局は吹き出しをじっくり読むんだから、普通に活字だけの本を読むのと同じだと思うので、せいぜい「ストーリーで学ぶ○○」辺りだろうか。例えば、「ストーリーでわかる財務3表超入門」は非常に良い本だと思うし、Amazonでの評価も高い。

    しかし、読む本も随分と変わったなぁと思わずにはいられない。

  • 「数学者の思案」(河東泰之、岩波書店)

    X(旧Twitter)でこの本の存在を知り読んでみたが、面白くて短時間で読み終えた。数学者の生態や、数学と物理学の関わりに関するところが興味深かったが、一番印象に残ったのは、研究者の任期制や、数学研究への公的支援についての考え方だろうか。

    企業の管理部門で仕事をしていると、価値判断の基準が「儲かる/儲からない」にならざるを得ず、それも短期間での判断が多い。体力的に余裕があるわけではない中小・中堅企業としては、儲からないと先がないので致し方ないのだけれど、この本で書かれているような、長期的な考えができる世界が存在し続けて欲しいものだと思った次第である。

    誰だったか忘れたけど、大学等の研究者を任期制にするのであれば、それを決定する役人も任期制にしろよ、ということを言っていた人がいたと思う(追記:この本で書かれていた…)。まぁ、そうも言いたくなるよなぁ。

  • 勉強の仕方

    気がつけば、一次試験まで残り2ヶ月を切っていた。昨年よりも勉強は進んでいると思うが、昨年だってこんなことを書いているので、どうなるんだかという気持ちである。繰り返し過去問を解くにしても、その過去問しか解けないようでは意味がない。根拠から理解していないとダメだと思いつつ、そこの踏み込みが浅すぎるのだろう。

    そんなタイミングで「科学的根拠に基づく最高の勉強法」という本を買って斜め読みしたのだが、一つ大きな気づきがあった。一言で言うと「学んだことを他人に説明できるかどうか」で、これまでの試験勉強で自分に足りないのはこの意識だと思う。以前の自分には備わっていた意識であることを考えると、「何としても合格する」という意志が希薄であることに起因すると思う。これはただただ反省するしかない。

    この本には、それ以外にも、若い頃にはできていたけど今はできていないことが多く書かれているように感じた。同様のことを書いた本もありそうだが、科学的根拠についての言及があるところが違いだろうか。あとは気が向いた時に改めて読んでみようと思っている。

  • 出だしから躓く

    久しぶりに砂川重信の「量子力学」を開いた。試験勉強が最優先だけど数式を追う気力は残っているので、気分転換に読んでみようと思った次第である。ちょっと曖昧な記憶だが、大学3年か4年の頃、大学生協で一番売れている量子力学の教科書だということを知り、実物を見て心惹かれて購入したように思う。

    この本は、水素原子についてのSchrödinger方程式を演算子法で解いていること(一度は計算をフォローした)や、第二量子化(一度は計算をフォローした)や量子電磁気学の入門的なこと(サッと眺めただけ)まで書いてある割にはコンパクトにまとまっており、それでいて、必要な計算も丁寧に説明しているのが魅力だと思っている。

    ただ…最初はコンプトン効果の説明なのだが、書かれていることを理解するのに随分と時間をかけてしまった。落ち着いて考えてみれば、金属に光を照射したら際の散乱光の波長が入射光の波長と異なるという事実と、光量子説に基づいて、運動量とエネルギーの保存を考えれば理解できるという、特に難しくない内容なんだけど。大学の講義でも学んだ訳だし、些か恥ずかしいものがある。

    少しずつでもこの手のコトをやっておかないと、冗談抜きで何もしなくなってしまいそうなので、時折書くようにしておこうと思ったが、多難な船出である(苦笑)

  • 「すごい物理学講義」(前半)

    夏休みに物理系の本を読もうと思い、最初は量子コンピュータ関連の本にするつもりだったのだが、ネットで物理系の読み物を調べてこの本の存在を知り、先にこちらを読みたくなってしまった。

    単純に物理学の発展を書いた本だと、非専門家が書いた、人間模様が中心の本を想像するのだが(それはそれで楽しめるのだが)、この本は、その道の専門家(著者の専門はループ量子重力理論)が数式を使わずにイメージを膨らませてくれる、丁寧な説明だと感じられる。それでも難しく感じる箇所は多々あるが、それは自分の実力である(苦笑)

    また、ギリシア哲学(ループ量子重力理論にも大きな影響を与えているらしい)に言及した導入や、随所に出てくる心に染み入る表現も良い。「何事であれ、誰かが理解した後に理解するのは簡単である。難しいのは、物事を最初に理解することである。」とか、他にも良い言葉があったけど、引用するとキリがないので、日々の業務で感じることとも重複する一つだけにしておく。著者は文学賞を取ったことがあるというのも納得である。

    パウリなど、この手の本に必ず出て来そうな大物が出てこないのは少々寂しい気もするが、アインシュタインとヒルベルトの関係、アインシュタインとボーアの関係は素敵だと思った。

    ここまでは前半(第2部)までの感想であり、後半は、著者の専門分野であるループ量子重力理論に入って行くので、一気にペースダウンするだろう。ひょっとするとこのまま放置かも知れないが、ここまででも十分楽しめた。