カテゴリー: 読書

  • 「フォン・ノイマンの哲学」(高橋昌一郎)

    自分が学生時代に学んだ分野では、フォン・ノイマンは超有名人なのだが、ノイマン型コンピュータ、誰もが認める天才だとか、波動力学と行列力学が等価であることを数学的に示した人という程度の知識しか持ち合わせていないまま今日まで至っている。

    書店でこの本が積んであったので、購入して読んでみたが、個々の業績の内容については深掘りせずに済ませて、人としてのノイマンや周囲の人たちとの関係、当時の社会的状況を織り交ぜた読み物で、半日程度で読み終えることができた。

    サブタイトルの「人間のフリをした悪魔」という表現はどこかで見た覚えがあって、「イっちゃった人」とか「冷徹無比な人」みたいなイメージを勝手に持っていたのだが、この本を読んで、何らかの基準を持って割り切る考えの持ち主だったということが分かった。

    また、そんなフォン・ノイマンも挫折を経験しているというところに人間臭さを感じる。ゲーデルに不完全性定理に関する業績で先を越されただけでなく、それは自分がやろうとしていたことが達成不可能であることを証明するものだったとか、この本には書いてなかったと思うけど、直感や独創性という点ではアインシュタインのような人には及ばないという劣等感を持っていた、という話も覚えがある。

    これから「量子力学の数学的基礎」を読破するのは無理だと思うけど、そのうち彼の業績の一部でもまともに理解したいものである。

  • 最近読んだもの

    「15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」と同じ著者が書いた「教養としての投資」を読んだ。面白かったけど、どちらか一冊だけで良かった気がする。そこから先はノウハウなのか、万人向けにするためにそうしているのか分からないけど、コンサル的な本にありがちな、実例少なめの抽象的な議論が多いようにも思う。結局は自分の頭で考えなければいけない、ということだと思うけど。

    NewsPicksの「衝撃 ニッポンが安い」という特集、特に「格安の国、ニッポンの「10の衝撃」」という記事も印象に残った。日本と比べて他国の物価上昇が大きく、為替レートが変わらなくても、円安と同様の影響があるという理解でいる(それ以外にも色々あるだろうけど)。

  • 実践不足を知る

    「15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」を読んだ。高校生を対象として書かれただけあって(勿論、それ以外の人が読むことも想定しているとは思うけど)読みやすいし、内容も面白い。

    難しいことは言っていないけれど、なるほどねぇということが色々あった。また、頭では当たり前のことだと分かっていても、実践できていないことを再認識できたのも良い(そして、少し恥ずかしい気分になるのだが)。

    同じ著者の違う本も読んでみようかな。

  • BLUE BACKS

    ここ数ヶ月で講談社BLUE BACKSの本を何冊か買った。記憶に残っているものを(多分、漏れはないと思う)購入順に挙げると、「Raspberry Piではじめる機械学習」「Raspberry Piではじめる電子工作」「ゲノム編集とはなにか」「トポロジカル物質とは何か」で、一番読んでいるのは「トポロジカル物質とは何か」である。

    今のところ1/3程度読み進んだが、学生時代にやっていたことと極めて近い(一部重複する)領域の話なので、結構すんなりと頭に入ってくるし、学生時代のワクワク感が蘇って来る。もっとも、まだイントロの部分なので、これから色々と躓きそうではあるが。

    しっかりした理解には、紙と鉛筆を使いながら考えることが必要になるだろうが、それはもうしばらく先の話である。

  • 月とコーヒー(吉田篤弘、徳間書店)

    寝る前に読むのに良い本はないかと思っていて、刺激的な内容だと寝付けないし、丁度良いものはないかと思いつつ、各所の書評を参考に購入した本である。

    はっきりとしたオチはないけれど、それでいてモヤモヤ感が残るわけでもなく、良い意味で余韻が残らない感じで、寝る前に読むには丁度良いと思った。あとがきを読むと、著者の狙いと自分の希望がマッチしたようだ。

    もうしばらくは繰り返して読むつもりだが、この次に読む本のハードルが上がりそうだ。

  • 悪いことではないのだが

    一日の多くの時間を、昨日購入した仕事関係の本を読むことに費やした。掃除やら何やらとやっていたので、一日中ではないけど。

    少し物理か数学をやりたかったのも事実ではあるが、上記の本はそれなりに面白く読めているし、いきなりあれもこれもとやると息切れするので止めておく。

  • データ分析

    データ分析に関する(記載がある)本を読んでいる。

    その一つは、「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」である。一つの章がデータ分析について書かれているのだが、そこで気づきを与えてもらった。もっと社内のデータを掘り下げて分析できるんじゃないのかなと思ったのである。

    他の章も読んでみたいと思ってはいるが、それは後ほどということにして、今は「会社を変える分析の力」を読んでいる。

    実は以前、同じ著者の「最強のデータ分析組織」を購入したものの、まだ手付かずで、そうこうしているうちに、某所で「会社を変える分析の力」の話を聞いて購入したら、こちらの方を先に読んだ方が良いように思えたのである。読んだ後で考えが変わるかも知れないけど、サラッと眺め感じでは、前者は組織について、後者は個人について書かれているように思う。本のタイトルもそれっぽいし。

    「会社を変える分析の力」については2章までを読んだが、データ分析に限らず、重要なことが色々と書いてある。具体的には、可能な限りシンプルな考え方で本質を捉える、仮説を立てる、ビジネスの観点から考える、大事なのは問題を解くことよりも解くべき問題を正しく設定すること、相関と因果関係は別物、計算結果を正しく判断する能力も必要、得られた結果を元に他者を動かす…いずれも過去の経験と重複する話である。

    新しい知見を与えてくれる本は当然として、知ってるけど実践できていなかったことに気づかせてくれる本も良い本だと思うのだが、この本は後者に該当する本かも知れない。

    残りの2つの章は、明日以降である。

  • 近現代史を読む

    今までは、歴史関係の本は近世までしか読んだことがなかったが、現在の情勢は近現代史を読むことでより理解できると思い、「ビジネスパーソンのための近現代史の読み方」を購入した。この本を選んだ理由は、Brexitやトランプ政権の成立からアメリカ独立まで遡っていくスタイルが面白そうだからである。

    購入してから半月程度掛かって読み終えたが、500ページ近くあるし、こんなものだろうけど、ページ数の割には読みやすかったと思う。

    ただ、私の読み方の問題なのか、この本の性質なのか分からないが、一度読めば歴史の流れを把握できるというものでなかった。レーガン政権やサッチャー政権の成立から現在に至るまでの流れは整理できたと思うが、それは何度か該当する章を繰り返して読んだからであり、それ以外の話は、もっと読み込まないと点が線にならない感じである。

    とはいえ、近現代史についての食わず嫌いを解消できたと思うので、時間が取れるときに読み直そうと思っている。他の本を一から読むよりは効率的だと思うし、他の本に手を出すのは、この本では物足りなくなってからで十分だ。

  • アンガーマネジメント

    これまでは、無責任に好き勝手やろうとする人間、無根拠な思い込みで暴走する人間に腹を立てることが多かったが、最近は、彼らが出す成果だけを享受して、扱いが面倒なところは私に押し付けてくる上司に対して頭に来ている。それならアンタは一体何を管理してるんだよ、と。

    そんな生活をしていると、本当にどうでも良いことで頭に血が上るようになり、そのうち脳卒中にでもなるのではないかと心配になり始めた。そこで、頭に来た時は6秒待ったり数を数えると良いという話を思い出して、ググってみたら、アンガーマネジメントという分野があるようだ。その手の本から、Amazonでの売れ行きと、書店で中身を見て、「実践アンガーマネジメント」(安藤俊介、朝日文庫)を購入した。

    前半は、以前は実践していたけど、気がついたらしなくなっていたことが大半だった。今でも実践しているのは、自分の怒りを記録するということで、それは正にここでやっていることである。勿論、そのまま書くとマズイことは伏せたりぼかしたりしてあるし、タイミングをずらして書くこともあるけれど。その一方で、愚痴は悪い意味での刷り込みになるからしない方が良いというのも実感として分かるので、書き方には注意すべきだと再認識した。

    後半は、怒りというか、感情の制御というか、物事の捉え方についてが書かれているように思えた。「ポジティブシンキング」とでも言えば良いだろうか。自分は結構根に持つタイプだとは思っていたが、この本で言う「怒りに負ける人」にカテゴライズされるなぁと思わずにはいられなかった(苦笑)

    あと、原因より目標、過去より未来というのはもっともだと思う。内容的にもボリューム的にも読み易いので、「信長の革命と光秀の正義」と同様に、また読み返したいと思っている。

    初代三遊亭圓朝は、アンガーマネジメント(あるいはポジティブシンキング)の達人だったのだろうなと思う今日この頃である。

  • 信長の革命と光秀の正義(安部龍太郎、幻冬舎)

    隙間時間に読むか、気分転換にと思って買ったのだが、なかなか楽しめた。どこまで正しいのかは分からないが、本能寺の変には朝廷とキリスト教が絡むというストーリーは、もっともそうに思えて面白い。朝廷陰謀説は前からあるのは知っているが、キリスト教が絡むところが新説なのだろうか。

    証拠がなく推測でしかないところは、その旨書いてあって、無根拠に「〜に違いない」みたいに言い切らないところは好感が持てる。

    そのうちまた読み返したい本である。