「フォン・ノイマンの哲学」(高橋昌一郎)

自分が学生時代に学んだ分野では、フォン・ノイマンは超有名人なのだが、ノイマン型コンピュータ、誰もが認める天才だとか、波動力学と行列力学が等価であることを数学的に示した人という程度の知識しか持ち合わせていないまま今日まで至っている。

書店でこの本が積んであったので、購入して読んでみたが、個々の業績の内容については深掘りせずに済ませて、人としてのノイマンや周囲の人たちとの関係、当時の社会的状況を織り交ぜた読み物で、半日程度で読み終えることができた。

サブタイトルの「人間のフリをした悪魔」という表現はどこかで見た覚えがあって、「イっちゃった人」とか「冷徹無比な人」みたいなイメージを勝手に持っていたのだが、この本を読んで、何らかの基準を持って割り切る考えの持ち主だったということが分かった。

また、そんなフォン・ノイマンも挫折を経験しているというところに人間臭さを感じる。ゲーデルに不完全性定理に関する業績で先を越されただけでなく、それは自分がやろうとしていたことが達成不可能であることを証明するものだったとか、この本には書いてなかったと思うけど、直感や独創性という点ではアインシュタインのような人には及ばないという劣等感を持っていた、という話も覚えがある。

これから「量子力学の数学的基礎」を読破するのは無理だと思うけど、そのうち彼の業績の一部でもまともに理解したいものである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする