逃亡者

上司が会社を去り、自分が後釜になってしばらく経った。彼の去り際の言葉が本音だとすると、今の立場を維持し続けるのが困難になったという意味では逃げきれず、色々なことを放り出していなくなったという意味では逃げたということになる。ここで書いたように、嫌なことを避けて美味しいところだけを欲しがった結果だとは思うのだが、年齢的にハードルが高い状況で、自力で逃げ場を確保したのは立派だと思う。

引き継ぎらしいことはほとんどなかったが、それ自体で困ることはなかった(彼にもその自覚はあったようだ)。その一方で、私には、彼のような狡さや大局観はないので苦労することはあるだろう。それは引き継げるようなものではないので、経験を積むしかない。

今までとの一番の違いは、自分の判断が与える影響の大きさである。これまでも何らかの判断はしていたが、これからは「最後の砦」的な要素が生じるので重みが違う。自分の裁量で決めることができるという充実感と、自分が決めなければいけないというプレッシャーの両方を感じながら仕事をしている。「立場が人を育てる」というのはこういうことを言うのだろうと改めて思う次第である。

また、これを機会に初心に帰らなければいけないと思ったこともある。以前から身につけようと思っていたスキルがあるのだが、そのスキルを身につけられる状況から逃げたことで、何一つ身についていないことに気がついたのである。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…

そんなことを考えながら、愛読している業界関係者のブログを読んでいたら、ここで書いたことと同じようなことが書かれていた。そのブログの主を盲信するわけではないけれど、感覚的にしっくり来る。「君は生き延びることができるか」(by 永井一郎)ってところだろうか。

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