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_ 何事も図を描いて考えるのが大切なのは言うまでもないことだが、特に光学は、作図をするという作業が効果的な分野に思える。ガウス(近軸)光学は特殊ルール付きの中学・高校の幾何学だし、高校物理レベルの半幾何光学的な波動光学の話でも、真面目に作図するだけで先が見えてくる。ありきたりな例を挙げると、結像の式(Newtonの式)は主点・節点などの概念と三角形の相似を考えればすぐ出てくるし、回折格子の強度ピークが出る方向も、直角三角形の一辺の長さが波長の整数倍だという条件を付けるだけである。ちょっと頑張れば、回折格子を鋸歯状にすると特定の方向だけに回折光の強度が集中することだって理解できる。要は屈折角と回折角が一致するのだ。
_ この程度の作図による考察でも数値計算の方向付けには有効だし、打ち合わせでは途中で必ず誰かがホワイトボードに絵を描き始める。そんなやり取りを繰り返していると、相手の頭の中で絵が描かれているかまでが、何となく想像できるようになってくるから不思議なものだ。1人蚊帳の外なのが昨日の教え子であるが、上記の中高生レベルの作図すらやらない/できないのだから致し方ない。
_ お隣さんが引っ越し作業の真っ最中。1Kのマンションなのに、土日は毎週のように子供が騒ぐ声とか年配の人の話す声が聞こるようになって、隣の部屋の住人が入れ替わったのだろうけど不思議なシチュエーションだなぁ、と思ってから1年以上は経ったのだろうか。そして、出て行く時に初めて顔を合わせるというのもこの御時世ならではか。