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_ 職場には、かつて花形だったものの、時代の流れで需要がなくなり撤退した事業から移ってきた人達が多数いる。その人達の話を直接・間接的に聞いていると、「俺たちが会社を支えてきた」という自負が強くて周囲になじめない面があるのだが、それとは別に「設計」という仕事に対する考え方が随分と違っていた。
_ 彼らが入社した時にはその事業が全盛期にあり、既に設計・評価するためのツールが一通り揃っていて、その扱いに習熟すれば業務が滞りなく進んだそうだ。何に気を付けて設計すれば良いかは既に分かっていて、どのような項目を測定して、その数値がどの範囲に収まっていればOKなのかは自分で決める必要がないのである。そういった世界で生きてきた人にしてみれば、設計手法が一部手探りだったり評価項目が日毎に増えるというのは「設計」ではないのだろう。ある人の「それではまるで開発の考え方ですね」というコメントで納得がいった。確かにこれは開発であって設計ではない。
_ 彼らが元からこの部署にいる連中のことを「手法が確立されていないのに設計やってるんだから呆れちゃうよ」と言ったという話を耳にしたことがあるが、まぁ、分からなくもない。ただ、彼らも自分で手法を確立するという苦労を知らずにここまで来ている訳で、今までぬるま湯に浸かりすぎたんじゃないか?と思うのもまた事実である。