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_ こことここで書いたように、一時期熱雑音に興味を持ちかけたことがあるのだが、結局そのまま大したことはせずにいる。しかしながら、最近になって周囲の電気屋がこの辺りであーでもない、こーでもない、とやっているので、ちょっと興味が復活。当然のことながら、電気屋が知りたいことは、熱雑音やショット雑音の式がどのように導かれたかではなく、その式を使ってどんな結論が導かれるかなのだが、私は前者の方に興味がある。熱力学への苦手意識は今でも持ち続けているし、ちょっとやればできるという話ではないのだが、久ぶりにプランクの式を見て心惹かれた。
_ 上述の話の際に、回路素子の動作をどうイメージするかという話題になり、例えばインダクタなら、コイルの誘導起電力を考えるのが最も普通だと思うのだが、その時は、何故か頭の中にはバネについたおもりの運動方程式が出てきて、形の上ではLCR共振回路だと思いながら「電子が見かけ上重くなってビヨーンと、とか…」という話をした。格好つけた言い方だと「自然は変化を嫌うので(慣性)」となるのだろうか。
_ 話し相手の電気屋は、イメージは無く「とにかくそう言うものだ」としか考えていなかったそうである。彼らの仕事(回路設計)ができればどっちでも良いのだから、別にそれをどうこう言う話ではない。ただ、入社時の上司に「君は物理屋なんだから、そういうところからイメージを持たなくては行けない」と言われたことは今でも覚えている…と過去にも書いたような気がする。
_ 誰だって、自分のアイディアで仕事が上手く行くことを望むのは当然だと思うが、常にそうはなり得ないのが普通だろう。他人のアイディアで仕事が上手く行くのが面白くない時もあるが、上手く行かなければ会社の儲け→自分の取り分が減る訳だし、面白くしたいのなら自分が他人以上のアイディアを出すしかないのだ。
_ 他人のアイディアでことが進みそうになると、仕事が上手く進むかどうかを度外視してまでそれを否定しようとする人間の扱いは、なかなか厄介なものである。以前書いたように、光の回折について議論している最中に、他人の考えを否定したい余り「この状況では、光は屈折という幾何光学的現象に従って振る舞うんだから、回折という波動光学的現象なんか出てこないんだ!!」というトンデモな発言をしてしまうくらいである(*1)…今現在、発言者自身は覚えていないようだが。
_ 最近行き詰まったことがあって、他部門の人のアイディアを試してみようと思っている。私自身は打開策を考え出すことが出来ずにおり、上述の御仁も同様なのだが、この提案をした時の反応は分かりやすいもので、過去にダメだという検討結果があったはずだと言い始めた。その件に関しては、誰も結論を出せるほど掘り下げた検討をしたことはなく、時間の都合でお蔵入りしていただけである。検討するとすれば私しかおらず、その人間がしていないのだから間違いない。
_ 過去の出来事を振り返ると、仮にこのアイディアでもダメだった場合、「ほれ見たことか」と言わんばかりに揚げ足を取って喜ぶだろうし、上手く行った場合には、私がいない場所、特に役職者が集まる場所で、彼の指示で私が検討したくらいのことは平気で言うだろう。ふとこの時の言葉が思い出したので、上手く行った時のことは考えておかないとな…上手く行かなかった時のリスクヘッジもだけど。まぁ、とにかく試してみないと始まらない。