週記以上日記未満 in April, 2017

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Apr.2,2017 (Sun)

▼ 放送大学

「力と運動の物理」「場と時間空間の物理」「量子と統計の物理」が面白そうだと思い、録画して見ることにした。見るだけでは不十分なのは分かっているが、それ以上の時間は取れないだろう…というか、既に量子ホール系の勉強が止まっている状態なのに、見る時間を取れるのかも疑問ではある。

見流すだけでもいいし、試験が一段落してから見るという手もあるので、録画だけはしておくつもりである。

Apr.7,2017 (Fri)

▼ 花見

缶チューハイを飲みながら夜桜を見た後で、焼き肉屋で飲み食い。丁度良いタイミングで晴れてくれたのは、日頃の行いが反映されたと都合良く考えることにする。

帰りは煙とニンニクの臭いを帯びて電車に乗ったので、周囲の人は迷惑だったかも知れない(笑)

Apr.9,2017 (Sun)

▼ 取りこぼしが大杉

バルサがまた負けてしまい、エエエェェェ(´Д`)という感じ。下位チーム相手にこんなに取りこぼしては、優勝できないよ。

▼ Blochの定理再考

自分のメモ書きなので、かなり端折っているが(*1)、下記のような周期系でのHamiltonianを考える。

\[
H = -\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2 + V\left(\boldsymbol{r}\right)\\
V\left(\boldsymbol{r} + \boldsymbol{R}\right) = V\left(\boldsymbol{r}\right)\\
\boldsymbol{R}= l\boldsymbol{a} + m\boldsymbol{b} + n\boldsymbol{c}\\
\boldsymbol{R'}= l'\boldsymbol{a} + m'\boldsymbol{b} + n'\boldsymbol{c}
\]ここで、$\boldsymbol{a}, \boldsymbol{b}, \boldsymbol{c}$は結晶の基本並進ベクトル、$l, l', m, m', n, n'$は整数である。

Hamiltonian $H$と並進移動演算子$T_{\boldsymbol{R}}$は可換(同時対角化可能)であるから(*2)、Hamiltonianと並進移動演算子の同時固有関数を$\psi\left(\boldsymbol{r}\right)$とすると、下記のように書ける。

\[
T_{\boldsymbol{R}}\psi\left(\boldsymbol{r}\right) = c_{\boldsymbol{R}}\psi\left(\boldsymbol{r}\right)
\]

ここで、2段階の並進移動を2つ考える。一つは$\boldsymbol{R}$だけ並進移動した後に更に$\boldsymbol{R'}$だけ並進移動する場合、もう一つは先に$\boldsymbol{R'}$だけ、後に$\boldsymbol{R}$だけ並進移動した場合である。得られる結果は同じなので、
\[
c_{\boldsymbol{R+R'}} = c_{\boldsymbol{R}}c_{\boldsymbol{R'}} = c_{\boldsymbol{R'}}c_{\boldsymbol{R}}
\]である。これは$c$が指数関数であれば成立するから、
\[
c_{\boldsymbol{R}} = e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{R}}
\]すなわち\[
\psi\left(\boldsymbol{r}+\boldsymbol{R}\right) = e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{R}}\psi\left(\boldsymbol{r}\right)
\]となる。$\boldsymbol{k}$は状態を指定する波数ベクトルである。$\boldsymbol{k}$が逆格子空間の単位胞の外に出ても状態は変わらず(逆格子ベクトル分オフセットした状態は同じ)、Brillouin Zone内の状態はバンドを考慮する必要があるので、もう一つのインデックスを使って状態を指定することは、固体物理学で習ったとおりである。つまり、\[
H\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right) = E_{n\boldsymbol{k}}\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right)
\]である。

▼ 磁場中の並進移動(5)

前回から2ヶ月以上経ってしまったが、過去の話を思い出しつつ、整理したい。

磁場中でもBlochの定理と同様の考察をしたいが、残念ながら、磁場中での並進移動が常に可換とは限らないので、一工夫しようというのが、本来の話の流れである(と思う)。

前回も書いたように、磁場中で、$\left(0, 0\right)$にいる電子が、$\left(a, 0\right)$を経由して$\left(a, b\right)$に移動することを表す演算子を$\tilde{T}_1$、$\left(0, b\right)$を経由して$\left(a, b\right)$に移動することを表す演算子を$\tilde{T}_2$とすると、\[
\tilde{T}_2 = exp\left(2\pi i \phi\right) \tilde{T}_1,\ \phi = \frac{eB}{h}ab
\]となるので、ここで書いたように、磁気単位ベクトルを$\left(qa,b\right)$、格子ベクトルを$\boldsymbol{R'}=\left(nqa,mb\right)$($n,m$は整数)としてやれば、磁気単位ベクトル分の並進移動について対称性が成り立つ(*3)

これで磁場がない場合のBlochの定理と同様に考えられるとして、$\boldsymbol{k}=\left(k_1,\ k_2\right)$、$\tilde{T}_{qa},\ \tilde{T}_{b}$をそれぞれ$x,\ y$方向へそれぞれ$qa,\ b$だけ並進移動させる演算子だとすると、
\[
\tilde{T}_{qa}\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right) = e^{ik_1 qa}\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right),\\
\tilde{T}_{b} \psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right) = e^{ik_2 b}\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right)
\]と書くことができる。ここで、周期性より\[
0 \leqq k_1 < \frac{2\pi}{qa} ,\ \ 0 \leqq k_2 < \frac{2\pi}{b}
\]という領域(Magnetic Brillouin Zone)だけ考えれば良いということなる。また、Blochの定理が言えるのなら、\[
\psi_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right)=e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}} u_{n\boldsymbol{k}}\left(\boldsymbol{r}\right)
\]という形になる自然の流れであるので、ちょっと計算してみる(以下、面倒なので添え字$n\boldsymbol{k}$は省略する)。

まず、この時やった計算から、
\[
\tilde{T}_{qa}\psi\left(\boldsymbol{r}\right) = e^{ik_1 qa}e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}} u\left(x,y\right) = \exp\left[-\frac{ieB}{2\hbar}qay\right]\psi\left(x+qa,y\right) = \exp\left[-\frac{ieB}{2\hbar}qay\right] e^{i k_1 qa} e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}} u\left(x + qa, y\right)\\
\tilde{T}_{b}\psi\left(\boldsymbol{r}\right) = e^{ik_2 b}e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}} u\left(x, y\right) = \exp\left[\frac{ieB}{2\hbar}bx\right]\psi\left(x,y+b\right) = \exp\left[\frac{ieB}{2\hbar}b\right] e^{i k_2 b} e^{i\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}} u\left(x, y+b\right)\\
\]であることが言える。したがって、この時の結果(*4)も利用して、\[
u\left(x+qa,y\right) = \exp\left[\frac{ieB}{2\hbar}qay\right]u\left(x,y\right) = \exp\left[i\frac{\pi p y}{b}\right]u\left(x, y\right)\\
u\left(x,y+b\right) = \exp\left[-\frac{ieB}{2\hbar}bx\right]u\left(x,y\right) = \exp\left[-i\frac{\pi p x}{qa}\right]u\left(x, y\right)
\]となったのだが、符号が原論文と逆になってしまった…それはともかくとして、通常のBlochの定理とは異なり、付加的な位相がつくという結果になることは分かった。

最後に、上の式を使って、$\left(0, 0\right)\rightarrow\left(qa, 0\right)\rightarrow\left(qa, b\right)\rightarrow\left(0, b\right)\rightarrow\left(0, 0\right)$と1周したときの位相変化を求める。
\[
u\left(qa, 0\right) = \exp\left[i\frac{\pi p\cdot0}{b}\right]u\left(0, 0\right) = u\left(0, 0\right)\\
u\left(qa, b\right) = \exp\left[-i\frac{\pi p qa}{qa}\right] u\left(qa, 0\right) = \exp\left[-i\pi p\right] u\left(0,0\right)\\
u\left(0, b\right) = \exp\left[-i\frac{\pi p b}{b}\right] u\left(qa, b\right) = \exp\left[-2i\pi p\right] u\left(0,0\right)\\
u\left(0, 0\right) = \exp\left[i\frac{\pi p \cdot 0}{qa}\right] u\left(0,b\right) = \exp\left[-2i\pi p\right] u\left(0,0\right)
\]言うまでも無いとは思うが、最後の式は、右辺の$u\left(0,0\right)$は出発点、左辺の$u\left(0,0\right)$は到着点を意味している。付加的な位相がつくとしても、一周により生じる位相差は$2\pi$の整数倍なることが確認できた。

ここで得られたBloch関数を用いてHall伝導度を計算することになる訳だが、それは当分先の話かも知れない。

*1: 「基礎の固体物理学」(斯波弘行、培風館)の結論だけと言っても良い
*2: 真面目に計算すれば確認できる
*3: ここで「対称性」という表現を使うのは少々気持ち悪く思うのだが、とりあえず置いておく
*4: $\frac{eB}{h}qab = p$

Golden Child / no-spam-postmaster@goldenchild.jp
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